第41回研究大会・指導者研修会が開催されました
石川県高P連第41回研究大会・指導者研修会が令和6年11月13日(水)、県文教会館ホールにて開催されました。ご参加いただきました136名の各校保護者及び教職員の皆様、有難うございました。
開会式では、まず小坂勇次県高P連会長より、他県等の活動状況を知ることは非常に有意義であり、活動をとおして保護者や教員との信頼関係が生まれる、との挨拶がありました。また、ご来賓の北野喜樹県教育委員会教育長様からは、地震や豪雨被害の中での生徒の学びを継続させる努力に対してねぎらいの言葉をいただき、また、複雑な現代社会を生き抜く力を学校・家庭・地域が連携して育む必要があり、PTAには、学校と家庭、地域社会の架け橋となる役割を期待する、とのご挨拶をいただきました。
表彰式では、優良PTA石川県教育委員会表彰として、大聖寺実業高等学校、金沢二水高等学校、穴水高等学校の各PTAに北野教育長様より表彰状が手渡されました。また、本年度の県高P連活動振興功労者表彰は41名の方が受賞され、代表として、小松高等学校藤本洋右氏、金沢桜丘高等学校室屋圭志氏、飯田高等学校葛󠄀原秀史氏に小坂会長から表彰状をお渡ししました。
続いて記念講演として、金沢大学人間社会研究域地域創造学系准教授の青木賢人氏が「能登半島地震後の防災教育~脅しの防災教育を超えて~」と題して講師を務められました。概要は以下のとおりです。
青木賢人氏 講演要旨
地震はどこでも起こりうる。金沢にも森本・富樫断層があり、2000年に1回くらい地震を起こしていて、前の地震は約2000年前に起きている。能登半島では近年、群発地震が起こっていたが、それが連続する活断層を刺激し、1月1日の大きな地震につながった。能登地震では地震のあらゆる現象が見られた。外浦は隆起したため津波被害はなかったが、内浦は沈降のため、津波の被害を受けた。能登半島の地盤が傾いたと考えるとわかりやすい。地元が地震や津波でどんな被害を受ける可能性があるかを学び、訓練に生かす必要がある。珠洲市や能登町のある地区では津波が来ることを想定し、どこなら逃げられるか、避難場所を再検討し、今回の地震でも全員が津波から逃げ切った。珠洲市正院町には平床貝層があり、それらは能登半島が海岸段丘でできている証拠である。今回の隆起や沈降はたまたまではなく、何度も起こっている地震の1回に私たちが遭遇したことになる。継続的な地殻変動が起こっているのである。人間の時間スケールで見ると特別なことだが、自然の時間スケールで見ると特別なことではない。自然はメリットもデメリットも持っている。港町の輪島市門前町黒島は海に近いが、リスクを避けるため、過去の地震でできた段丘を数段上がったところに集落がある。珠洲市の揚浜塩田も同じで、輪島塗に必要な地の粉や珠洲の七輪のもととなる珪藻土はかつて陸から離れた海底でプランクトンが堆積したものである。地面の隆起はある意味、災害で、ある意味、恵みでもある。白米の千枚田は地すべりでできたなだらかな地形を利用しているが、今回は多くの道路を寸断した。繰り返し起こる地震は能登の大地を作り、人々はその地形を利用して里山里海のくらしを営んでいる。災害と災害の間の能登の土は優しい。ただずっと優しいわけではない。環境は恵みと災いという両面性を持っていることを理解しなければならない。土砂崩れが起きることも、洪水が来ることも受け入れざるを得ない。だからこそ自然を理解し、備えなければならない。これまでの防災教育は備えないと怖いよ、と脅していた。災害が怖いとわかっている今、石川の子どもたちに脅しの防災教育は必要ない。能登には、能登が好き、という高校生が多い。みんながここを好きでいたい、ここで暮らしたい、と言うなら怖い一瞬を乗り切ればいい、乗り越えればいい。だから防災教育をするんだよ、という学び方が大切である。自分が住んでいる土地、自然を受け入れる手段として防災教育がある。自然を回避するためではなく、自然に接近するための防災である。石川では発想の転換を図って、今後、防災教育を行っていく必要があると考える。
研究発表は3校PTAが順に発表し、県教育委員会事務局生涯学習課長岩木智子様より指導助言をいただきました。小松市立高校PTAには、「段階的に時代に合わせた活動としていく組織としての推進力が素晴らしく、組織を合理化しながらも生徒が喜ぶ活動を推進している点も注目できる」、金沢辰巳丘高校PTAには、「活動の合理化を進める一方で、保護者同士が日頃の悩み等を相談できる場を設けるなど、工夫しながら持続可能な活動を行っているところが素晴らしい」、田鶴浜高校PTAには、「PTAの立場で中学生等に学校の魅力を伝えたるなど、学校愛にあふれる広報活動の充実には目を見張るものがある」との講評をいただきました。最後に、アフターコロナの時代、未曽有の災害を二度も経験した時代のPTA活動として、緩やかな活動への参加、会員自身が楽しめる活動を作り出していくことが大切であり、各校が目指す生徒の姿について共通理解し、学校と保護者が学び合い、高め合える組織作りをお願いしたい、とご助言をいただきました。
報告事項として、事務局より北信越研究大会長野大会及び全国大会茨城大会の報告を、山口千晶生活指導委員長より生活指導・家庭教育委員会の報告をさせていただきました。
最後に閉会式では、齋藤譲一県高P連副会長より、大会での話にはヒントになることもたくさんあり、PTAが子どもたちの教育の未来を担う場として、活発な活動を今後もお願いしたい、との挨拶がありました。
参加された皆さん、学んだ内容を各校に持ち帰り、生徒の人間力育成に活かしていただくようお願いいたします。
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