第71回全国高等学校PTA連合会大会石川大会を開催しました
第71回全国高等学校PTA連合会大会石川大会は『輝く未来への礎~親から始める新時代の教育~』のテーマのもと、8月25日(木)、26日(金)の二日間、いしかわ総合スポーツセンター、石川県産業展示館4号館に全国から約5,000人が集い、盛大に開催された。参加者が一堂に会する全国大会としては3年ぶりの開催で、石川県では昭和54年の第29回大会以来の開催となった。新型コロナ第7波が収束しない中、感染防止を最優先に会場収容率50%、検温、消毒などの対策を施し、開会式、記念講演、閉会式を全国にLive配信するなど、全国大会としては初めてのハイブリッド開催となり、新時代の全国大会を実施したという意味で、価値ある大会となった。
1日目開会式後の分科会では4分野(家庭教育・学校教育・キャリアデザイン・進路選択)において新時代を統一キーワードとした新しい価値観について問題提起し、アプリの活用でリアルタイムに参加者の意見・質問・アンケートを集約、共有する手法を採用し、新時代に相応しい分科会モデルを全国に紹介した。
2日目記念講演はファミリーマート顧問(元社長)で石川県出身の澤田貴司氏が「やりたいことをやる」と題し、桜丘高校から上智大学、伊藤忠入社、コンサル会社起業、ユニクロ、ファミリーマートまでの紆余曲折の人生から学んだことを熱く語りかけ、ユーモアを交えた飾らない口調と興味深い内容に参加者は引き込まれた。その後の閉会式では次期開催地である宮城県で来年再会することを誓い、足掛け4年にわたり準備してきた石川大会は無事、成功裏に閉幕した。
【開会式】8月25日(木)13:30~14:30
会場:いしかわ総合スポーツセンターメインアリーナ(サブアリーナ・石川県産業展示館4号館へ同時映像配信)
開式のことばを金田稔治実行委員長代行が述べた後、金沢辰巳丘高校3年の坂真成さんが国歌を独唱し、厳粛な雰囲気を醸し出す中で開会式が始まった。
開会にあたり粟田真人実行委員長が「コロナ禍にもかかわらず、多くの皆様にお越しいただき感謝したい。オンラインではなくリアルに一堂に会することの素晴らしさや、私たちが4年間準備してきたこの大会で多くの学びと気づきを持ち帰っていただければ幸いである。」と挨拶した。
次に大会会長の山田博章全国高P連会長は式辞で「前回の島根大会では1年順延してもリアル開催は叶わなかった。今年は万難を排しての石川大会であり、関係各位の感慨もひとしおではないか。保護者と教員は子どもたちの自立と幸福という願いを同じくする同士だ。両者が同じベクトルで手を携え、子どもたちの自立支援を目標に活動していきたい。石川の地から発信されたテーマと志が心に深く刻まれ、忘れがたい印象を残してくれることを確信している。」と挨拶した。
ご来賓を代表し、3名の方から祝辞をいただいた。
○簗和生文部科学副大臣(ビデオメッセージ)
「これからの活力ある社会を創っていくには、学校のみならず社会総掛りの教育を実現することが大事であり、学校・家庭・地域の連携がこれまで以上に求められる。PTAの皆様には本大会のテーマである輝く未来への礎としてこれからもお力添えを賜りたい。」
○馳浩石川県知事
「大会メインテーマは輝く未来への礎ということだが、まさに今、教育には明るい未来を信じ、逞しく生き抜く人材を育てることが期待されている。全国各地からお集まりの皆様方におれては、この石川の地で分科会等での意見交換を始め、地域を超えた交流を深め、PTA活動の輪が一層広がり、日本の将来を支える人材の育成につながることを願っている。」
○村山卓金沢市長
「社会の変革がますます拍車をかける中、子どもたちはデジタル・ネイティブ世代として、このような社会の変動にしなやかに対応しているように見える。本大会のテーマにもあるように大人の方こそがもう一度学び直し、社会のあり方に向き合わなければならないのかもしれない。3年ぶりのこの機会が実りの多いものになるよう期待しています。」
祝辞に引き続き表彰式が行われ、各表彰の受賞者の代表としては主に石川県の該当者に授与された。
□優良PTA文部科学大臣表彰 能登高校PTA
□(一社)全国高等学校PTA連合会会長表彰
・個人の部
佐藤 典彦 前県高P連副会長(寺井高校)
杉本由香里 前県高P連副会長(田鶴浜高校)
・団体の部 野々市明倫高校PTA
・役員・事務職員の部 村井 繁夫 前県高P連会長(野々市明倫高校)
表彰式後、水元美香副実行委員長が閉式のことばを述べ開会式は終了した。
ご出席いただいたご来賓の皆さま
石川県知事 馳 浩 様
金沢市長 村山 卓 様
石川県教育長 北野喜樹 様
金沢市教育長 野口 弘 様
石川県教育委員会事務局教育次長 塩田憲司 様
石川県教育委員会事務局生涯学習課長 岩木智子 様
全国高等学校長協会会長代理・石川県高等学校長協会会長 中村義治 様
【分科会】8月25日(木)14:40~17:00
第1分科会「新時代の家庭教育~今伸ばすべき本当に必要な力~」
参加者2,226名 場所:いしかわ総合スポーツセンターメインアリーナ
○内容
家庭はすべての教育の原点だが、それぞれの価値観やライフスタイルの多様化に応じて家庭での子育ても多様化している。家庭での子育てはこうあるべきといった正解はないが、どんな子育てが子どもの自立に有効なのか、そうではないのかを共有する。
○講演Ⅰ
中室牧子 氏(慶應義塾大学総合政策学部教授/(公財)東京財団政策研究所研究主幹)
演題 「教育に科学的根拠を」
○講演Ⅱ
高濱正伸 氏(花まる学習会代表/NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長)
演題 「思春期の親だからできること」
○質疑応答
○司会 荻野直子 氏(元石川県高P連副会長)
第2分科会「新時代の学校教育~学習意欲を高める個別最適化、協働的な学び~」
参加者1,626名 場所:石川県産業展示館4号館
○内容
学校教育に対し、一斉授業の限界、教師不足、科学技術や情報化への遅れ等が指摘されている。日本経済を回復・発展させるため経済産業省が提唱するこれからの学校教育である「未来の教室」を切り口に、文部科学省はそれをどう考え、どんな対策をとるのかを学ぶ。
○基調講演Ⅰ
浅野大介 氏(経済産業省産業資金課長・Web3政策推進室長)
演題 「「未来の教室」を構想する」
○基調講演Ⅱ
合田哲雄 氏(内閣府(科学技術・イノベーション推進事務局)審議官)
演題 「教育DX時代の子どもたちの学び~学校は何のためにあるのか~」
○パネルディスカッション
パネリスト 浅野大介氏、合田哲雄氏
髙木慎一朗氏(R3金沢泉丘高校PTA会長・(株)銭屋代表取締役)
コーディネーター 外村 仁氏(元エバーノートジャパン会長)
○司会 吉河ゆかり(金沢泉丘高校PTA副会長)
第3分科会「新時代のキャリアデザイン
~ローカルキャリアが育む未来の働き方・生き方~」
参加者705名 場所:いしかわ総合スポーツセンターサブアリーナ
○内容
ローカルキャリアとは、地域に関わりながら働き、地域という生活者に近いところで生活者と共生関係を持ちながら、地域の人や資源を生かし共創すること。個人の価値観の多様化を背景に都市部一極集中から脱する新時代のキャリアデザインについて学ぶ。
○基調講演
石井重成 氏
(青森大学准教授、地域人材共創機構代表理事、総務省地域情報化アドバイザー)
演題 「ローカルキャリア研究から見えてきた未来のキャリアデザイン」
○パネルディスカッション
パネリスト 石井重成氏
岩本 悠氏((一財)地域・魅力化プラットフォーム代表理事
古屋星斗氏(リクルートワークス研究所・研究員)
山岸 充氏(七尾高校PTA会長、(株)パナシス七尾・常務取締役)
コーディネーター 森山奈美氏((株)御祓川・代表取締役)
○司会 輪瀬 薫(七尾高校PTA副会長)
第4分科会「新時代の進路選択
~正解のない時代に、どう未来を選択していくか~」
オンライン録画配信
○内容
コロナでの生活変容を筆頭に、ますます先行き不透明な時代。しかし、価値観の変化・選択肢の多様化をポジティブに捉えると「自分のやりたいこと」を突き詰めていける時代かもしれない。正解のない時代ゆえの進路選択(生き方も含め)について視点を深める。
○基調講演Ⅰ
小宮山利恵子 氏(スタディサプリ教育AI研究所所長・東京学芸大学大学院准教授)
演題 「新時代の進路選択~正解のない時代に、どう未来を選択していくか~」
○基調講演Ⅱ
赤土豪一 氏(リクルート「キャリアガイダンス」編集長・東京学芸大学客員准教授)
演題 「これからの社会を生き抜く子どもたちのために保護者に求められていること」
○司会 山 栄美(金沢二水高校PTA副会長)
【記念講演】8月26日(金)9:30~11:00
会場:いしかわ総合スポーツセンターメインアリーナ(サブアリーナへ同時映像配信)
講師:ファミリーマート顧問(元社長) 澤田貴司氏(石川県出身)
演題:「やりたいことをやる」
内容:澤田氏は生い立ちから現在までを時系列で、伊藤忠、経営コンサル会社起業、ユニクロ、ファミリーマートを渡り歩いてきた企業人としての自身の経験を踏まえ、ユーモアを交えながら飾らない口調で熱く語られた。澤田氏が20代のころ、長く教職に携わってこられたお父様が不慮の事故で亡くなられ、喪主を務めることになったとき、たいへん多くの方からお父様への感謝の言葉をいただいたことに大変なショックを受け、このときに「自分も一人でも多くの人を物心両面で幸せにしたい。自分のため(利己)ではなく、人のため(利他)に尽くそう。」と決心したそうだ。そして講演の中で澤田氏は選択を迫られたとき、上司などを忖度し「誰が正しいか」ではなく、利他の心を拠り所に、「何が正しいか」で選択すべきだと訴えた。また、企業トップは「組織はリーダーで99.9%決まる」ことを肝に銘じ、リーダーが責任を負って、やりたいことを宣言し、自身の逃げ場を無くし、皆が納得して努力する環境を作り出すことで企業や社員の自己成長を産むことができると締めくくられた。誰かを忖度していては当然やりたいことはできない。利他の心でやりたいことをやろうとするからこそ、澤田氏が一つの会社に止まらない理由も納得できる。新時代は終身雇用が崩れ、副業し、やりたいことをやるために転職することが当たり前の時代になると予想する向きもある。人生は次から次と押し寄せる選択の連続だが、その選択基準として「人のためになっているか」という利他の心は新時代を生き抜く上での最善のツールかもしれないと考えさせられた。70分の講演だったが、上着を脱がれハンカチで汗を拭きながらの澤田氏の熱い語りに参加者は時間を忘れるほど引き込まれ、多くの学びが得られた記念講演だった。
【閉会式】8月26日(金)11:15~11:55
会場:いしかわ総合スポーツセンターメインアリーナ(サブアリーナへ同時映像配信)
開式のことばを杉本由香里副実行委員長が述べた後、大会会長の山田博章全国高P連会長が「コロナ禍で石川大会開催に至るまでには紆余曲折があったと思う。しかし、大会を盛会・成功裏に終えられるのは、これまで長年にわたり準備し、勇気をもって開催を決断していただいた石川大会実行委員会及び石川県高P連のお陰であり、心より感謝申し上げたい。参加者の皆様には石川大会で得た多くの学びをお持ち帰りいただき、それぞれのPTAで共有し、これからの活動の充実に活かして欲しい。」と挨拶した。
続いて全国高P連旗が粟田真人実行委員長から山田博章全国高P連会長へ返還され、山田会長から次期開催地である宮城県の町田さやか宮城大会実行委員長に授与された。その後、「豊かな杜につむぐ虹の光~しなやかな強さで生き抜く力~」をテーマに掲げる宮城大会のPRムービーが上映され、町田さやか実行委員長を始めとする宮城県視察団約50名が「来年の夏は宮城県仙台市でお会いしましょう。」と意気投合したパフォーマンスで参加を呼びかけた。
続いて粟田真人実行委員長が「コロナ禍での全国大会開催は世間的にはまだ抵抗感が強く、そんな中で開催に踏み切ったのは社会の閉塞感を払拭し、全国各地のPTAが元通りに活動できるきっかけとなる大会にしたいとの願いがあった。コロナはすぐに収束しないだろうが、石川大会にご参加いただいた皆様がそれぞれの地元で今後のPTA活動の礎として、ご尽力いただければ有難く思う。」と挨拶した。
最後に閉式のことばを村井繁夫副実行委員長が述べ、石川大会は閉幕した。
【高校生歓迎アトラクション】
大会両日ともオープニングとして高校生歓迎アトラクションが披露され、大会を大いに盛り上げました。
1日目(25日)
遊学館高校バトントワリング部(スポーツセンターメインアリーナ)
金沢二水高校合唱部(スポーツセンターサブアリーナ)
金沢桜丘高校筝曲部(産展4号館)
2日目(26日)
小松明峰高校吹奏楽部(スポーツセンターメインアリーナ)